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線留め(連続固定式)と点留め(独立結紮式)は、糸の通し方が根本的に異なる別術式です。2025年の後ろ向きコホート研究(Okumura et al.)では、4年間の再手術率が線留め13.4%・点留め26.2%と報告されており、持続性に差がある傾向が示されています。ただし個人差が大きく、どちらが「より良い」とは一概に言えません。まぶたの状態・希望する二重の幅・修正の可能性・予算によって向く術式が変わります。本記事では、自分に合う術式と点数を選ぶための判断軸を整理します。
線留めと点留めの最大の違いは、「糸を連続的に通すか、独立した点として固定するか」という固定方式にあります。この構造の差が、持続性・修正のしやすさ・ダウンタイムのすべてに影響します。
線留めは、1本の糸をまぶたの複数箇所に連続して縫い通し、両端を結ぶ術式です。糸が1本でつながっているため、固定に使う力がまぶた全体に分散される傾向があります。局所への負担が一点に集中しにくいことが一般的な特徴です。
一方で、糸全体に緩みが生じた場合は複数箇所が同時に影響を受ける可能性もあります。「1本糸なので、抜糸は1か所の小さな切開で済む場合が多い」という利点があります。
点留めは、複数の糸をそれぞれ独立した点として結紮(けっさつ:縛って固定すること)する術式です。各結紮が独立しているため、「一部の点が緩んでも、ほかの点は維持される」という特性があります。
また、問題のある1点だけを選択的に抜糸・修正できる点が、修正容易性の面での特徴です。留める点の数(2点・3点・4点など)については、次の章で詳しく説明します。
クリニックの広告で目にする術式名は多岐にわたりますが、仕組みの軸で整理すると「線留め(連続固定)か点留め(独立結紮)か」の2分類に帰着します。
線留め系の主な呼称:連結式・連続埋没法・ループ法・クロス法・自然癒着法など。各院が独自名称を付けているケースが多いですが、これらの多くは連続固定式の一種です。
点留め系の主な呼称:独立結紮式・単結紮式など。
「自然癒着法」は線留めの一種ですが、糸の引き込み方や癒着(ゆちゃく:組織どうしがくっつくこと)を誘導する考え方がクリニックによって異なります。
| 比較項目 | 線留め(連続固定式) | 点留め(独立結紮式) |
|---|---|---|
| 固定方式 | 1本の糸で連続固定 | 複数の糸を独立して結紮 |
| 糸本数 | 1本(術式により複数もあり) | 留める点数分の糸(2〜6本など) |
| 持続傾向 | 4年再手術率13.4%の報告あり(Okumura et al. 2025) | 4年再手術率26.2%の報告あり(同研究) |
| 修正のしやすさ | 術式による(シンプルな1本糸は容易・複雑ループ型は困難) | 各点が独立しているため部分修正がしやすい傾向 |
| 費用目安 | 15万〜30万円前後(自由診療・個人差大) | 3万〜15万円前後(自由診療・個人差大) |
| ダウンタイムの出やすさ | 結紮箇所が少なく、腫れは比較的軽い傾向 | 各点で独立した穿刺・結紮が必要なため腫れが出やすい傾向(点数が増えるほど悪化しやすい) |
※数値はOkumura K et al. Aesthetic Plastic Surgery. 2025;49:4200-4205.に基づく研究報告であり、当院での結果を保証するものではありません。費用は自由診療のためクリニックにより大きく異なります。個人差があります。
持続性については、2025年に発表された後ろ向きコホート研究(Okumura et al.)で、線留め(連続固定)のほうが再手術率が低い傾向が報告されています。ただし、この数値は特定の研究条件下でのデータであり、当院での結果を保証するものではありません。個人差があります。
Okumura K, Tamura T, Funakoshi Y, Teranishi H.「Comparison of Long-Term Stability Between Continuous and Two-Point Buried Suture Methods in Double Eyelid Surgery: A 4-Year Retrospective Cohort Study of 1000 Cases.」Aesthetic Plastic Surgery. 2025;49:4200-4205.
この研究は1,000症例を対象とした後ろ向きコホート研究(こうむきコホートけんきゅう:過去の症例データを振り返って分析する研究手法)です。主な結果は以下のとおりです。
また、同研究グループによる続報(1,500症例に拡大し、連続法・2点留め・経結膜法の3群を比較)が2025年にArchives of Aesthetic Plastic Surgery誌(Arch Aesthet Plast Surg. 2025;31(3):61-67)に掲載されています(doi: 10.14730/aaps.2025.01354)。こちらでも同様の傾向が確認されています。
上記の数値は「傾向の報告」であり、次の点に留意してください。
点数は多いほど持続性が上がると思われがちですが、それは誤解です。点数を2点から4点に増やすと固定力はわずかに増す可能性がありますが、線留め(連続固定式)との持続性の差は縮まりません。点数を増やすほどリスクも比例して増えることを理解しておきましょう。
点数が増えると、糸の本数・結紮の数が増えます。これに伴い次のようなリスクが高まる可能性があります。個人差があります。
以下はあくまでも目安であり、実際の選択は医師がまぶたの状態を直接確認したうえで提案します。個人差があります。
| 点数 | 固定力の目安 | 主なリスクの傾向 | 向くケースの傾向(個人差あり) |
|---|---|---|---|
| 2点 | 基本的な固定力 | 各点への負荷が集中しやすい | 二重幅が狭め・まぶたが薄め・デザイン変更の可能性を残したい場合 |
| 3点 | やや分散 | しこりリスクがわずかに増加 | 二重幅が中程度・まぶたの皮膚に多少の伸びがある場合 |
| 4点 | さらに分散 | しこり・糸玉のリスクが高まりやすい | 二重幅が広め・まぶたの皮膚の伸びが大きい場合(ただし個人差が大きい) |
| 6点 | 上記の延長 | デメリットが比例して増加する傾向 | 提供しているクリニックもあるが、6点留めが最も安心とは言えない |
「点数を増やせば線留めに近くなる」という考え方は正確ではありません。点留め(独立結紮)と線留め(連続固定)は、糸の通し方という根本的な構造が異なります。点数を6点に増やしても、連続固定式の荷重分散の仕組みにはなりません。
まず「線留めか点留めか」を選ぶことが先で、点数はその後、医師とのカウンセリングで詰めるものです。点数の多さで術式選択の代わりにしようとすると、デメリットだけが増える可能性があります。
点数選択は、医師がまぶたの状態を直接確認したうえで提案するものです。まずはカウンセリングでご相談ください。
料金の詳細は料金ページをご確認ください。
ダウンタイムは点留めのほうが出やすい傾向があります。さらに点数が増えるほど悪化しやすい点も大切なポイントです。ただし個人差が大きく、腫れの程度や回復の速さは一人ひとりで異なります。
点留めは1点ごとに独立した穿刺と結紮(けっさつ:糸を縛って固定すること)を行うため、まぶたに作る「糸を通す穴」と「結び目」の数が増えやすい術式です。各点で局所的な炎症が起こりやすく、結紮による組織への圧も点状に集中します。結果として、腫れ・内出血が点留めで強く出やすい傾向があります。
さらに、留める点数が増えるほど穿刺・結紮の総数が線形に増えるため、4点留め・6点留めとなるほど腫れが強く・長引きやすくなる傾向があります。点数を増やすことは固定力だけでなくダウンタイムにも比例して影響することを理解しておきましょう。
線留めは1本の糸を連続的に通し、両端の2点で結紮するシンプルな構造です。結紮箇所の総数が点留めよりも少なくなりやすく、まぶた全体への刺激が分散される傾向があります。施術範囲は広くなるものの、点状の強い炎症が複数箇所で同時に起こる点留めに比べると、腫れは比較的軽くおさまりやすい傾向があります。個人差があります。
以下はあくまでも参考であり、個人差があります。医師から術後の具体的な指示を受けてください。
「線留めは抜糸が難しい」という情報を見かけますが、一概にそうとは言えません。術式の複雑さによって、修正・抜糸のしやすさは大きく変わります。両面を正確に理解したうえで術式を選ぶことが大切です。
点留めは各結紮が独立しているため、問題のある1点だけを選択的に抜糸・修正できる特性があります。全抜糸も比較的容易なケースが多く、修正の可能性を大きく残したい場合に向くことが多い術式です。ただし、状態によっては修正が容易でないケースもあります。
1本糸のシンプルな線留めの場合、1か所の小さな穴から糸全体を引き出して抜糸できるケースが殆どです。弊院でもこの方法を採用しています。(ただし術式の設計によって異なります)。点留めと同様に比較的短時間で修正が完了します。
複雑なループ型の線留め、または複数結紮の場合は、糸の経路を追うことが難しくなります。このケースでは、切開しないと糸を取り出せないことがあります。
修正の可能性を大きく残したい場合は、点留めのほうが向くケースが多い傾向があります。ただし、術式の選択は持続性・デザイン・費用・ダウンタイムなどを総合的に考慮するものです。「修正しやすいから点留め一択」という単純な結論ではなく、カウンセリングで自分の状態と希望を伝えたうえで判断することをお勧めします。
費用面では、線留めのほうが点留めより高くなる傾向があります。ただし自由診療のため、クリニックにより価格差が大きく、以下の数値はあくまでも相場帯の目安です。確定額は各クリニックにお問い合わせください。
自由診療のため幅が非常に大きく、同じ術式でも地域・クリニックの規模・医師の経験によって異なります。「この価格帯が相場」と断定することはできません。
線留めは次のような要因で施術コストが高くなる傾向があります。
点留めは取れやすい傾向がある一方、再施術保証(再施術を一定期間内に割引または無料で行う制度)を設けているクリニックが多くあります。「初期費用が低い+保証制度あり」という組み合わせで、コストパフォーマンスが優れる場合もあります。
保証制度の内容はクリニックにより異なります。適用条件・期間・費用を事前に必ず確認してください。
費用だけで術式を選ぶことは、長期的な満足度の観点でリスクを伴います。まぶたの状態と希望を医師に相談し、最適な術式を選んだうえで費用を確認することをお勧めします。
料金の詳細は料金ページをご確認ください。
どちらの術式が自分に合うかは、まぶたの状態と希望を医師が確認したうえで判断するものです。ここでは判断の方向性を考えるための目安を整理します。本記事の内容は個別の診断を行うものではありません。
上記はあくまでも目安です。複数の項目に当てはまっても、最終的な判断は医師がまぶたの状態(皮膚の厚み・脂肪量・まぶたの動きなど)を直接確認したうえで行います。
次のような状態では、埋没法(線留め・点留めいずれも)の持続性が落ちやすく、切開法(ぜっかいほう:皮膚を切開して二重を形成する術式)も選択肢になる場合があります。
来院時に以下を確認しておくと、カウンセリングがスムーズに進みます。
このチェックリストを持参して、カウンセリングでご確認ください。疑問点をまとめたうえでお越しいただくとスムーズです。
料金の詳細は料金ページをご確認ください。
「線留めか点留めか」という軸とは独立して、「結び目(糸玉)をまぶたのどちら側に作るか」という選択軸があります。これが 表留めと裏留め の違いです。線留めでも点留めでも、それぞれに表留め版・裏留め版が存在します。本章では、この2軸を混同しないように整理したうえで、表留めと裏留めの違いだけを比較します。
どちらも糸自体はまぶた内部を通っており、見た目に糸が露出するわけではありません。違うのは「結び目が皮膚寄りか、結膜寄りか」という1点です。
| 比較項目 | 表留め(皮膚側に結び目) | 裏留め(結膜側に結び目) |
|---|---|---|
| 結び目の位置 | まぶたの皮膚側(皮下) | まぶたの裏側(結膜下) |
| 眼球側の異物感 | 起こりにくい | 結膜・眼球への擦れによる違和感が出るケースあり |
| 結び目の触知・見えやすさ | まぶたが薄いと指で触れたり浮いて見えたりするケースあり | 外見上はほぼ目立たない |
| 結膜炎・角膜への影響 | 起こりにくい | 結膜炎・角膜への擦過刺激が起こるケースあり |
| 修正・抜糸時のアクセス | 皮膚側から短時間でアクセスしやすい | 結膜側からのアクセスが必要 |
| 採用しているクリニック数 | 比較的多い(標準的) | 採用院は限定的 |
※各項目には個人差があり、術式の細部設計やまぶたの状態によって異なります。
表留めは結膜への刺激が起こりにくく修正もしやすい一方、まぶたが薄い方では結び目が浮いて見えるリスクがあります。裏留めは外見上のリスクが少ない代わりに、結膜炎や眼球の擦過刺激といった眼の症状が出るケースがあり、修正時のアクセスもやや煩雑です。
「線留めか点留めか」を医師と相談したあとに、表留めか裏留めかを併せて確認するのがおすすめです。多くのクリニックでは表留めが標準ですが、ご自身のまぶたの厚みや希望に合わせて選択肢があるかをカウンセリングで聞いてみてください。
本記事の主軸である「線留め vs 点留め」、本章の「表留め vs 裏留め」に加えて、もう一つ重要な選択軸があります。それが「糸をかける組織」を 挙筋(きょきん:まぶたを持ち上げる筋肉)にかけるか、瞼板(けんばん:まぶたの硬い板状組織)にかけるか という違いです。
挙筋法と瞼板法はそれぞれ異物感・後戻りやすさ・術後の眼の動きへの影響が異なります。詳細は別記事で扱う予定です。
線留め(連続固定式)と点留め(独立結紮式)は、糸の通し方という根本的な構造が異なる別術式です。2025年の学術研究(Okumura et al.)では線留めの4年再手術率が低い傾向が報告されていますが、個人差が大きく、どちらが「常に優れている」とは言えません。
選択のポイントをまとめると、次のとおりです。
最適な術式と点数は、医師がまぶたの状態を直接確認したうえで提案するものです。本記事の情報を参考に、カウンセリングでご相談ください。
線留め・点留めのどちらが自分に合うか、当院の医師が診察・カウンセリングでご提案いたします。オンラインカウンセリングも受け付けています。
料金の詳細は料金ページをご確認ください。